長野順子・銅版画作品『Fragility』
エッチング・アクアチント 2017年制作
2018年2月20日(火)〜3月4日(日)ワイアートギャラリーで開催の
「さらなる深淵の世界へ 長野順子 宮崎敬介 展」で購入しました。
(続き)
展示されていた額入りのものは、既に赤丸が付いていて、
私はシートのみの購入になりました。
お好きな額を選んで飾るのもいいですよと勧められ、
画材店にて後日、選んだのが青い額。
懐具合の許す範囲での選択でした。
これでよかったのかな…という思いは残りますが…。
ただ、私の家には、絵を飾れるような壁がなく、
画集を眺めるように、それぞれの作品を箱から取り出しては
光の加減を見ながら、あちらこちらの窓辺に持っていきます。
額縁は、いろんな想いへ続く秘密の門口…。
この銅版画にはアーチ状の窓が描かれていて、
外には月光が満ちているように思えました。
こちらを振り返った翼ある少女の美しさ。
場所を変えてやれば、作品を取り巻く空気も変わります。
いつでも目に触れる喜びは我慢しなければなりませんが、
思い立って見に行った風景のような
懐かしさ、新鮮さを味わえます。
下は、額装が終わっての帰り道、
久しぶりに立ち寄った神戸メリケン波止場。
かつての艀だまり、通船だまりは、きれいさっぱりとしていて、
見る影もないような寂しさです。
それでも、この通船らしき舟には、昔のように
防舷材として黒いタイヤが括りつけられていました。
遠くに停泊中の、沖待ちの船を目にしたら、
なんだか無性にこの舟に乗ってみたくなりました。
幻の遠い船の上で、
父や母が、通船の到着を待っているというような
脈絡のない想いに打ちのめされました。
小さな作品を一点購入しただけの私ですが、
作者、長野順子様からカードと礼状、巡回展の案内を頂きました。
一つ一つが宝物のように思えて、ありがたく、
心にしみるようでした。
今は何もかもが儚いものに映ります。
睦月弥生は、やはり特別な時なのかもしれません…。